反差別ネットワークニュース[No.3]を発行しました!

当ネットワークでは、不定期に相模原市におけるヘイトスピーチや条例の状況などを伝えるニュースペーパーを発行しています。
その第3号が完成しました。
ぜひご覧ください!
※リンクからダウンロード頂けます。

反差別ネットニュース[No.3]PDF

※No1,2はこちらをご覧ください。





相模原にも
ヘイトスピーチを規制する反差別条例を!

反差別ネットワークニュース No.3  2021.07.22

発行:反差別相模原市民ネットワーク(発行責任者:田中俊策 ☎090・1458・6761)


 今、相模原市は、「(仮称)相模原市人権尊重のまちづくり条例」の制定に向けて、人権施策審議会に意見を求めています。私たち、反差別相模原市民ネットワークは、ヘイトスピーチを規制する反差別条例を求め、活動をしています。

相模原市になぜ反差別条例が必要か

 相模原市では2016年に戦後最悪のヘイトクライムである「津久井やまゆり園事件」が起きました。インターネット上では、事件を賛美するコメントと共に「犯人は○○人(外国人)」といったデマが今も書き込まれ、拡散されています。
 2018年3月には、日本第一党が相模大野駅前の公共施設で開いた政治集会にて、桜井誠党首が「シナ人、朝鮮人は日本に対してやりたい放題」「ヘイトスピーチ抑止法や条例ができても、われわれが政権を取ってひっくり返せばいいだけの話。条例と法律を作った人間を必ず木の上からぶら下げる。物理的にこれをやるべきだ」と虐殺を煽動する発言を行いました。さらに2019年4月の統一地方選挙においても、日本第一党は相模原市内での選挙街宣で、党首自らが民族差別を煽るヘイトスピーチを繰り返しました。
 最近では醜悪なヘイト活動の映像が入った、差出人不明のヘイトDVDがマンション等に投函される事件や、ネットや路上では差別主義者による条例妨害行動が行われています。
 ヘイトスピーチを放置すれば、社会に差別と暴力を広げ、人びとの日常を不安におとしいれます。必要なことは、これを止める具体的な施策、行動です。

「川崎市 差別のない人権尊重のまちづくり条例」の効果

 201912月、川崎市は「川崎市 差別のない人権尊重のまちづくり条例」(川崎モデル)を制定しました。この条例は、ヘイトスピーチ解消法(2016年制定)の実効性を高めるため、罰則を科してヘイトスピーチを「犯罪」とみなした先進的な条例です。川崎市では、この条例制定により、これまで街頭で叫ばれていた「〇〇人を殺せ」などといった禁止条項にあたる明確な言動は行われないようになりました。

「表現の自由」を侵害する?

 日本では「表現の自由」が問われ、規制に反対する声もあります。ですが、そのような単純な二項対立に意味はありません。ヘイトスピーチを受けるマイノリティの人びとは、差別という、暴力の雨を浴びせられ続けます。それによる恐怖から、声が上げられなくなり、「沈黙」を強いられるのです。つまり、マイノリティの「表現の自由」だけが一方的に侵害されるのです。人種差別撤廃条約や他国の議論は、規制することで、不公正、不正義を正し、マイノリティの「表現の自由」を守るという考えに立っています。社会で生きる全ての人びとの「表現の自由」が侵害されないためにも、規制が必要なのです。
 「川崎モデル」は表現の自由に配慮しつつ、ヘイトスピーチ規制を可能にした、グローバルスタンダードの条例です。

「日本人に罰則を科す不公平な条例」というデマ

 現在、市内では日本第一党をはじめ、差別的な団体が「(川崎の条例は)日本人差別だ」などとデマが書かれたチラシをポスティングしたり、駅頭で宣伝したりしています。そのようなおかしな内容の条例を行政が制定すると思いますか? 実際に川崎市は「そんなことはない」と表明しています。悪意に満ちたデマに惑わされることがないように、ヘイトスピーチとはどのようものなのかを今一度確認してみましょう。
 この問題に詳しい、フリージャーナリストの安田浩一さんは、かつての講演の中でヘイトスピーチに関して次のように語りました。「ヘイトスピーチとは、社会的な力関係を背景として、決して変更することのできない人種、民族、国籍、性別、障がい、セクシャルマイノリティ、そうしたものに関して差別し、中傷し、それを煽ることです。相手の、決して変更することのできない属性を攻撃するというのは、全く違う土俵から物を投げているのと同じことです。つまりそこではケンカが成立しない。ヘイトスピーチは、自分が乗り越えること、変更することのできない属性に対する攻撃ですからケンカにならない。この、不均衡な状況の中でヘイトスピーチは生まれる。しかも社会的な力関係を背景としているわけですから、いかんともしがたい」
 「差別」とは、その社会で強い立場にある人びとから、弱い立場の人びとという関係の中で起こります。日本社会の中で「日本人だから」という理由で、差別、ヘイトスピーチを受けることはありません。「日本人差別」という言い方は、マイノリティの人びとが受けてきた差別を大したことのないもの、無かったことにしてしまう極めて差別的な表現なのです。

本村賢太郎相模原市長の明言がヘイトスピーチを抑止

 「でも最近、相模原のヘイト活動は減ったんじゃない?」という声を聞くこともあります。確かにそうかも知れません。それには理由があるのです。
 2019年6月、本村相模原市長は「ヘイトスピーチは、人としての尊厳を傷付けるだけでなく、差別意識を助長し、人びとに不安感や嫌悪感を与えることにつながりかねない。決して許してはいけない」「罰則などを含め、川崎市に引けを取らないような厳しいものにしたい」と明言しました。ある人権問題の研究者は、「このメッセージが表明された時から、相模原市には、川崎のようなヘイトスピーチ規制条例があるのと同じ状態なんですよ」と言います。それはこういうことです市長の明言後、ヘイトスピーチをしたい人たちが、川崎市と同等のヘイトスピーチを規制する条例を相模原市に制定させないように、発言は抑え、「相模原にヘイトスピーチはない」「だからヘイトスピーチを禁止する条例は不要」という世論の流れを作ろうとしている”。今の状況を真に受けて、相模原市が規制のない緩い条例を制定したら、その先、どういうことになるか想像してみてください。それは相模原が、ヘイトスピーチを許したことになり、取り返しのつかない現実を生みます。
 「罰則などを含め、川崎市に引けを取らないような厳しいものにしたい」という、本村市長の明言の力は大変大きなものです。だからこそ、次はこのメッセージを「条例」という形に具体化することが重要です。そのためにも、相模原市および市議会、そして私たち市民が一丸となって、「川崎モデル」に負けない実効性のある条例を制定し、他の自治体の模範となる「ヘイトスピーチを許さない街」を作り上げていくことが必要です。

(反差別相模原市民ネットワークEメールアドレス:hansabetsu.sagamihara@gmail.com)

                          



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