反差別ネットワークニュース [No.1]を発行しました!

 反差別相模原市民ネットワークでは、現在市内でヘイトスピーチを巡りどのようなことが起きているのか、何が問題なのか、条例の必要性etcを紹介するニュースペーパーを不定期で配布しています。

その第1号が完成しましたので、ぜひご覧ください!!
※以下のリンクからダウンロード頂けます。

反差別ネットワークニュース[No.1]PDF



人種、国籍、障がい、性別、性的指向、出身、病気……あらゆる差別のない市民社会をめざそう!

反差別ネットワークニュース No.1  2020.01.26

発行:反差別相模原市民ネットワーク(発行責任者:田中俊策 ☎090・1458・6761)


川崎・多文化交流施設「ふれあい館」に脅迫年賀状が

 昨年12月、川崎市でヘイトスピーチに刑事罰を科す条文を含む「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が制定され、大きく報じられましたが、それに挑戦するかのように、川崎市の多文化交流施設「ふれあい館」に脅迫年賀状が送りつけられました。その文面は、「謹賀新年 在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう。生き残りがいたら、残酷に殺していこう」というものでした。このため、ふれあい館の利用者は前年の7割に減り、警備員の配置を余儀なくされています。川崎市の福田市長は、これは「差別に基づく脅迫」であり、「市として被害届を出す」としています。
 この年賀状は、ヘイトスピーチと同じく、変更することのできない属性に対する攻撃であり、差別に基づく犯罪(ヘイトクライム)です。
 みなさん、このようなことが起きている現実を、どう思いますか!?

◆川崎に続き、相模原にも「罰則付きのヘイトスピーチ規制条例」を

 川崎市には在日コリアンが集住する地区があり、市は「共生のまちづくり」を進めてきました。「ふれあい館」もその施策の一部です。ところが、2015年頃から、この地区の住民を標的にしたヘイトデモが繰り返されるようになり、これに対して多くの市民が反対に立ち上がったことから、2016年、国会で「ヘイトスピーチ解消法」が成立しました。しかし、同法は理念法で罰則規定がなかったため、一定の抑止効果はあったものの、ヘイトスピーチはなくなりませんでした。
 川崎市では、「在特会」(在日特権を許さない市民の会)を母体とする「日本第一党」が街宣行動を続け、在日コリアンの方たちは恐怖から外出もできない状況が今も続いています。このため、川崎市は福田市長が先頭に立ち、ヘイトスピーチに刑事罰を科す条例を、昨年12月、市議会で全会一致により成立させました。

 川崎にはコリアンタウンがあり、被害が目に見える形でありますが、ヘイトスピーチは川崎だけの問題ではありません。相模原市も「日本第一党」の拠点とされ、昨年の統一地方選挙では選挙演説に名を借りたヘイトスピーチが行われました。そのため、相模原市の本村市長は、川崎に続いて、「罰則付きのヘイトスピーチ規制条例」の制定を広言しています。
 私たち「反差別相模原市民ネットワーク」は、相模原での条例制定を目指し、本村市長を応援していきたいと思っています。

 ★ヘイトスピーチとは、人種、民族、国籍、宗教、性別、性的指向など、個人では変更困難な属性に基づいて侮辱、扇動、脅迫などを行うことをいいます。これは犯罪行為です。

◆川崎市条例…「表現の自由」を配慮し、罰則決定には「3度繰り返し」

 昨年12月22日に行った、川崎市の条例を学ぶ学習・講演会で、講師の師岡康子弁護士は川崎市条例の「罰則」について、次のように述べました。
 ヘイトスピーチの問題は、「表現の自由」の問題でもあります。川崎市の条例も表現の自由への侵害にならないように慎重な配慮がなされています。
 ヘイトスピーチがなされた場合、市長は6か月間、差別的な言動の禁止を勧告することができます。また、その勧告にもかかわらず、再び繰り返した場合は、今度は禁止を「命令」します。その命令にも従わなかった場合、つまり3度繰り返された時には、氏名を公表し、検察に告発することができます。いずれの場合も市長は専門家からなる審議会の意見を聞かなくてはなりませんし、反論の機会も与えられます。命令違反には、罰則として50万円以下の罰金が科せられます。
 つまり、ヘイトスピーチがあった場合でも、いきなり警察が取り締まるのではなく、警告が与えられ、3度繰り返して初めて、司法への対応を求めることになるわけです。それだけ「表現の自由」に配慮しているわけですが、条例の目的が「ヘイトスピーチの根絶」にあるだけに、どれだけ実効性があるのかが問われることになります。

◆反差別相模原市民ネットワークが目指すこと、取り組んでいること

 昨年行われた、相模原市議会選挙に「日本第一党」という政党が各選挙区に候補者を擁立しました。聞いたこともない「党」でしたが、党首は何と「在特会」元代表で、ヘイトスピーチで有名な桜井誠氏で、前年の東京都知事選挙に立候補した桜井氏が、運動中は公職選挙法に守られてヘイトスピーチが規制されないことに目をつけて作った政党でした。
 何で「相模原?」という疑問はありましたが、川崎での運動に学びながら、2018年10月に「反差別相模原市民ネットワーク」を結成しました。会の目的として、

 ①市議会選挙で「日本第一党」の候補者を当選させないこと。
 ②川崎市とタイアップして「ヘイトスピーチ規制条例」を制定すること。
 ③「津久井やまゆり園事件」の地元でも、ヘイトスピーチだけでなく、障碍者差別を含め

て「すべての差別を許さない」活動を進めること。
この3点を確認して出発しました。

 一番目の「日本第一党」候補者を当選させないことについては、特に南区で「落選運動」に取り組み、「日本第一党の○○候補に投票しないでください」と候補者名を明記したチラシを9万枚各戸配布し、選挙期間中は同じ内容の「横断幕」を彼らの街頭演説の前で掲げて有権者に訴えました。このような「落選運動」は公職選挙法には触れない合法的な活動で、そのためもあってか日本第一党の候補は、三選挙区とも惨敗でした。

 二番目の条例の制定については、先行する川崎市の市民運動と連携しつつ、学習会・講演会を何度も開催してきました。昨年4月の選挙で現職を破って当選した本村市長が、日本第一党の登場を受けて川崎市に続く条例の制定に意欲を示していることから、市長を応援するとともに、市議会の各会派の議員にも働きかけてきました。また、広く市民に呼びかけて、事件・社会問題を主なテーマに執筆活動を続ける安田浩一さんの講演会を開催しました。市の計画では、2021年度中の条例制定を目指すとのことなので、今後も運動を広めていきたいと考えています。

 三番目の、「すべての差別を許さない」というテーマは、ヘイトスピーチへの対応を優先しているため、現在は取り組めていませんが、相模原の「原点」として常に関心を持っていたいと思っています。

◆1月20日、本村市長と面談…広い意味での人権尊重の条例への意欲

 本村市長は、広く市民の意見を取り上げて市政に反映させることを公約として掲げ実行しています。その一環として、「反差別相模原市民ネットワーク」と市長との面談が、1月20日に行われました。

 私たちは、12月に制定された川崎市での罰則付きヘイトスピーチ規制を含む人権条例を踏まえて、相模原市での条例制定を求めたのに対し、本村市長は「津久井やまゆり園事件」を重く受け止め、差別をなくす観点から広い意味での人権尊重の条例制定への意欲を語り、その中で、日本第一党の登場も考慮して、ヘイトスピーチの規制にも取り組むとの姿勢を明らかにしました。条例制定には、市長のイニシャティブだけでなく、議会の協賛と市民の理解が不可欠です。私たちはこれからも条例制定に向けて、市議会議員や市民に対して広く働きかける決意を新たにしました。

 ヘイトスピーチを考える場合に、ネット上で繰り広げられる匿名でのヘイト表現の規制が問題になります。川崎市の条例でも取り上げられていますが、実効性のあるものとはなっていません。この問題については次回に取り上げたいと思います。

★予告:3月15日(日)中村一成さん(ルポライター、元毎日新聞記者)の講演会を計画しています。
※追記:新型コロナウイルス感染症の影響によりイベントは中止となりました。




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